2013年01月26日

イノシシ猟同行記

先日、長野県で行われたイノシシ猟に同行させていただいた。



地元の放送局も取材に来るなど、長野はジビエ料理の先進県。

そんな中このイベントを開催したのは、長野県茅野市のフレンチレストラン、
オーベルジュ・エスポワールでオーナーシェフをされている、藤木徳彦さん。
地元の野生鳥獣を食材にした、ジビエの普及に取り組んでいる方だ。

シェフとして野生鳥獣を扱う以上、それがどう捕獲され、どのようにして食材に
なるのか。若いスタッフたちにも見てもらいたい、という意図で企画された。



最初の猟場は千曲川の河川敷。
藤木さんの要望で、まずはここで野鳥を獲ることになった。



今回お世話になった、地元の猟友会のみなさん。全国的に猟師の高齢化が
言われているが、ここのみなさんは若い。35歳で猟師歴12年という方もいた。



散弾銃で撃ち落とした最初の獲物、カラス。藤木さんは当然、これを食材用として
持ち帰った。俺も以前食べたが、カラスは・・・実にうまいのだ。



その後参加者の昼食として出されたシカ肉カレー、シカのテリーヌ、サラミなど。
シカ肉はクセも臭みもなく淡白で、カレーとの相性はバツグン。うん、うまい!

驚いたのはこれを食べた場所が、長野県庁内の食堂であるということ。
誰もが簡単に食べに来ることができる。まさしく行政がジビエ普及に力を入れてる
証拠だが、これってすごく大事なことだと思う。暮らしの中に、ジビエがある。

今、全国で問題となっている鳥獣被害。我々がジビエ料理を食べる、ということが
その被害を減らすことにつながる。何よりジビエは、ホントにおいしいのだ。



イノシシの食肉処理場。山で射殺され、その場で血抜きされたイノシシはここで
解体され、内臓が取り除かれ、1週間ほど吊るされたのち、食肉となる。

全国的に必要なのはこの施設だ。ここを通さないと肉を流通させることができない。
処理施設を増やすこと、これが鳥獣被害を減らす上で喫緊の課題である。

さらに猟師不足の問題。これには昨今の平和主義思想?に加え、銃管理の問題
もある。現代においてライフルを所持することへの許可と更新は、相当面倒くさい。
それがイヤで銃を手放す猟師も多いのだ。

そして何より大切なのが、やはりジビエ料理の普及拡大である。猟師さんが撃って、
処理場を増やして大量生産しても、我々がそれを消費しなくては何にもならない。

・・・・・なぜ日本ではジビエがあんまり普及しないんだろう。まだまだ野生鳥獣に
対しての偏見が強いんだろうか?

臭そう?気持ち悪い?・・・いやいや。日本の野生動物は、中国のフライドチキン
のように抗生物質食わされてないぞ。こっちの方がよっぽど安心・安全である。



この処理場のすぐ近くに、捕獲したイノシシを飼育している場所があった。
(猟師さん曰く、非常食用に飼ってるらしい。ただし、情はわいてるとのこと。)

ここで突然、ハプニング発生。なんと、そのうちの1頭が柵を越えて脱走したのだ。







雪に足をとられながらも、山に向かい必死に逃げようとするイノシシ。
けれども逃げることは叶わなかった。
そいつの一生に幕を下ろしたのは、1発のライフルの銃弾だった。

・・・・・なんだか、哀れだった。哀れに思えて仕方なかった。



ただ、このイノシシのことを哀れでかわいそうと思うのであれば、同じ思いをを鶏や、
豚や、牛たちにも向けなければならないだろう。人間が持つ「かわいそう」という
優しい感情。・・・・・時にそれが、どれだけ邪魔な存在になることか。

人と野生動物とのつき合い。今後、農林業の衰退、猟師不足、さらなる森林開発に
よって今以上に、そのバランスが崩れることは必至だ。けれどこんな結果を招いて
しまった原因は間違いなく、「人為的」なものである。

ならば当然、その責任は人間がとらなくてはならない。
人が程よく、野生動物を食って減らすこと。自然の摂理から考えても当然のことだ。

何度も言うが、何よりイノシシやシカなど、ジビエはうまいのだ。我々がもっと食べて
需要を増やすこと。健全なバランスを保持していくには、そうする以外にない。

イノシシも、シカも、クジラも、ブタも、ウシも、
        「かわいそうだから食べない」のではなく、
        「かわいそうだからこそ、おいしく残さず食べてやる」。

これこそが、殺した命に対しての何よりの「供養」である。
  


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2013年01月23日

野鳥図鑑・蓮華寺池公園

静岡県藤枝市・蓮華寺池公園
ここは手軽にバードウォッチングを楽しむには最適の場所だ。





オオバン。クイナ科、つまりヤンバルクイナの親戚である。
この鳥を、ここまでアップで撮影できる場所はなかなか無い。



この池にやって来るドバトやユリカモメやカモ類に人が餌付けをしてる
ため、こんなにも警戒心なく近寄ってきちゃうワケなんだが・・・。

餌付けも程々にしないと、色んな問題が生じると思うんだけどなぁ。



オナガガモ。最も餌付けされやすく、人に近寄ってくるカモである。
自然界にない、高タンパクなエサもらいすぎて、飛べなくならんようにな。



題名 「ハトとたわむれる少年」。



題名 「調子に乗ったハトに襲われる少年」。



題名 「反省したハトを手なずけた少年」。



鳥だけでなく、蓮華寺池にはいろんな生きものがいる。これはモツゴの稚魚

残念ながらブルーギルや放流ゴイもたくさんいたが、それを上回る数のモツゴ。
日本の池沼に昔から生息するこの魚が、こんなにいる場所はなかなかない。



蓮華寺池公園のいい所は、散歩がてら自然観察ができること。そして展望台に
登れば焼津、藤枝の町や、そのむこうに広がる駿河湾が一望できる。

またこの公園は水辺の野鳥だけでなく、様々な種類の「森の鳥」にも出会える。

ここで出会える野鳥・・・ユリカモメ、バン、オオバン、オナガガモ、マガモ、カルガモ、
ヒドリガモ、ハシビロガモ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、アオサギ、コサギ、
ダイサギ、カワセミ、スズメ、カラス、ドバト、キジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、メジロ、
シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、ジョウビタキ、ルリビタキ、カワラヒワ、シメ、ウソ、
・・・・・・・・

きっとまだまだいるだろう。野鳥好きにとってはかなり魅力的な場所だと思う。



雄大な富士山を眺めながらのバードウォッチング。一度訪れてみてはいかが?

(この日撮影した模様は、
 1月29日火曜日、SBSテレビ「イブニングアイ」で放送されます。)  


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2013年01月20日

野鳥図鑑・一色町

買ったばかりのカメラを持って愛知県西尾市・一色町へ。
ここは鳥好きにとって「聖地」である。



ユリカモメセグロカモメ



足が赤く、目の後ろに黒い斑紋があるのがユリカモメの特徴だ。



トビ。猛禽類の中で最も生息数が多い。なぜなら彼らは、生ゴミや漁港で
出た魚のアラなんかも食う、いわば「人間依存型」のタカだからだ。

ここまで人間の近くで生活できるタカは、トビ以外にはいない。



尾羽根が直線、もしくは内側に切れ込んだ形になるのがトビの特徴。



ミサゴ。魚を主食とするタカだ。この写真は300mmで撮影。でも最近のカメラは
すごいね。多少被写体が小さくても、トリミングすればこんな写真になっちゃう
もんね。すごいねトリミング。・・・鳥だけにね。

ちなみにミサゴは準絶滅危惧種であるが、最近は数が回復しているように思う。
これはエサとなるボラが増えたせいではないだろうか?
ボラは水質汚濁に大変強い魚である。自然界も、強い者が生き残る世の中なのだ。



ホントはこの日、チュウヒなんかの猛禽類も撮影したんだけど、こちらは動画。
いつもコーワ・プロミナーに、ムービーカメラくっつけて撮影している。

そして最後はこの写真。
・・・・・スゴくない?アリみたいに黒く見えるの、これ全部スズガモって鳥だよ。

ひとつの池にこんなにカモが集まってるの、俺も初めて見た。
一色ってスゴい所なのだ。鳥好きにとっての聖地、ってことがわかったと思う。

矢作川があり三河湾があり、水路や養鰻場があり、農地や広いアシ原もある。

つまりここは野鳥にとって大切な環境が、めっちゃ整っている、ってことなのだ。

ミサゴもチュウヒもオオタカも、絶滅危惧種。けれどここに来れば、全部出会う
ことができる。そんな生息環境が残る数少ない場所、それが西尾市一色町。

いつまでも、守っていきたい「聖地」である。
  


Posted by mikihito at 23:39Comments(3)

2013年01月15日

祝50万アクセス&祝ミラーレス!

祝!50万アクセス突破!・・・みなさんご愛読ホントにありがとう。
このブログを読んで、自然好きが1人でも増えてくれたら嬉しいです。

それとちょっと前の「なべてつさん」からのコメントもめっちゃ嬉しかった。

 「鉄崎さん…いつも、魅かれる自然派レポート、楽しませて頂いてます。
 ウィットの効いたコメントもさることながら、ひとつひとつの写真が、特に凝ってる
 訳ではなさそうなのに、じっと見入ってしまうことしばしばです…以前、殆どの写真
 はコンデジだ…と言ってたような…今でも、コンデジなんでしょうか?どんな工夫が
 こんな魅力的にアップできる秘訣なんでしょうか?」

いやぁお褒めいただき恐縮です。ハイ、今までは全部コンデジで撮ってました。
秘訣?とかは特にないけど、しいて言えば・・・自然界で見つけた被写体が、
すべて愛おしく思えるから・・・かも知れんです。(言い方かっちょ良すぎ?)

そこで、50万アクセスを記念して(いや、たまたま買ったからなんだけど・・)今後は
ミラーレス一眼、オリンパス・ペンで撮影したものを載っけていきたいと思います。

購入2日目、思うがままに撮った写真の数々・・・。



フユイチゴ。(使用レンズ=パナソニック45mmF2.8マクロ)



ヤブコウジ



リュウノヒゲ。(別名・ジャノヒゲ)



サネカズラ。(別名・ビナンカズラ)



ピラカンサ











ダッフィーちゃん



うちの犬、ウーピーちゃん



マガモ。(使用レンズ=パナソニック100mm-300mmF4.0-5.6)



メジロとピラカンサの実・・・ダメだ。ピントも合ってないし、何より可愛くない。
まぁでも、これからじょじょに撮り方は学んでいこう。

こんなカンジで・・・花も撮りたい。野鳥も撮りたい。家族もペットも撮りたい。
今後もいろんな撮影の楽しみが増えてくることだろう。

フィールドに出る際には是非カメラを1台。
・・・・・コレ、ホントに楽しい自然遊びのひとつだと思うよ。
  


Posted by mikihito at 23:44Comments(7)

2013年01月13日

ビッグエビフライ

森を散策中、ドデカいエビフライを発見した。



松ぼっくりの中の実をリスが食べた痕なんだが、こりゃホントでっかいわ。



こうやって並べてみると、定食屋で出てきても違和感ないくらい、
ホンモノのエビフライそっくりじゃね?



元々の松ぼっくり自体が大きいので、チョウセンマツかな?とも思ったけど、
葉は5本じゃなく2本。・・・ってことは、アカマツ?なのかなぁ・・・。

冬の森歩きはなかなか面白いものがないと思いがちだが、、探せば必ず何かが
見つかる。寒いからついついインドアにこもっていたいけど、外に出て遊ぼう。

そしてこの度、寒い冬でも外に出かけたくなるアイテム、ついに購入しちゃった。



ジャ~ン!念願の、オリンパス・ミラーレス一眼、ペンライト「PL-5」だ!!



同時購入のレンズは、付属の14-42mmF3.5-5.6に加え、
パナの45mmF2.8マクロ、同じくパナの100-300mmF4.0-5.6望遠、
さらに、パナの秀逸単焦点レンズ、20mmF1.7。

これ、ミラーレス入門編のラインナップとしては最強だろう。
(カメラ無知な俺に、いろいろと手取り足取り教えてくれたみなさん、ありがとう。)

これらが一気に楽天ショップから届いた時、嫁の顔色が変わったのは確かだ。

でも、これでまた自然遊びの楽しみが増え、フィールドに出かける回数も多く
なることは間違いない。
これからもこのブログの写真と文章で、自然の素晴らしさを伝えていくからね!

・・・・・っていうのが、嫁への弁解。  


Posted by mikihito at 14:32Comments(3)

2013年01月11日

珍ヘビ2連発

前回のブログでヘビを特集して、ラジオでもそんな話してたら
さっそく写真を送ってくれた方がいた。



ジムグリの写真だ。三ケ日の山本さん、ありがとう。
(無許可で載っけちゃった。いいすか?事後承諾。)そしてなんと・・・



幻のヘビ、シロマダラの写真!!
すげ~。俺1度も見たことないよ。送ってくれた方、本当にありがとう。

でその後、過去のフォルダー探してみたら、俺も以前撮ってました。



道路にいたジムグリ。残念ながら轢死してたけど・・・。

さぁこれであとはタカチホヘビヒバカリ。よし。がんばって探してみよう。
またみなさん、協力してね!  


Posted by mikihito at 23:37Comments(4)

2013年01月08日

ヘビ年特集その2

今回は「ヘビ」がつく植物特集、いってみよう。



ヘビイチゴ。赤くておいしそうなんだけど、食べてみるとスカスカ。全然うまくない。



ヘビイチゴの花。かわゆす。(死語)



マムシグサ。茎がマムシの模様に似てることから名前がついた。
サトイモの仲間である。



秋から冬にかけて見られる、マムシグサの実。
めっちゃ毒々しい色だが、実際毒があるので食べてはいけない。

俺はちょっと食べてみた。なんとなく甘みがあることがわかった。
ただ、ちょっとくらい口に含んでもいいけど、飲み込んじゃダメよ。



ジャノヒゲ。別名、リュウノヒゲ。青くてきれいな実が冬の森で見られる。



そしてこれが・・・ヘビノボラズ。なんとも変わった名前の植物である。



この写真を見れば、その名前の由来がわかると思う。
そう。枝に鋭いトゲがいっぱいあるので・・・・・「蛇登らず」。



秋から冬にかけて、きれいな赤い実をつける。



でもこの植物を見かけることなんて、めったにない。それにウィキにも載ってない。

なぜならヘビノボラズは、東海地方の丘陵地、または極端な隔離分布をする、
東海丘陵要素植物」の一つで、愛知県では尾張~三河丘陵部の湧水湿地
にしか自生しておらず、全国区の植物じゃないからだ。

だから森散策してて、運よく見られればラッキーである。ま、地味だけどね。

動植物の名前の由来って、面白いものが多い。今年もそんな地味な面白さを、
このブログでは紹介していきたいと思う。

あ、ちなみに「鉄崎」の由来は、先祖が三重の九鬼水軍だったんだって。
確かに当時は、幕府より優れた造船技術持ってて、「鉄」を使ってたもんなぁ。

しかし先祖が海賊って・・・ちょっとカッコよくない?
先祖が三重の海賊。「パイレーツオブ熊野灘」。・・・・・カッコよくねーか。  


Posted by mikihito at 18:49Comments(2)

2013年01月03日

ヘビ年特集その1

ご愛読者の皆様、あけましておめでとうございます。
今年も自然派ブログ、「ハウリンウルフ」どうぞよろしくお願いします。

というワケで、新年1発目は「ヘビ年特集」。いろんなヘビを載っけとこう。



まずはマムシ。コレこないだ食っちゃったヤツね。



シマヘビ。毒は無いけどけっこう気性が荒い。



シマヘビの黒化型、通称「カラスヘビ」。爬虫類にとって黒いということは、
体温を上げるためのメリットとなっている。



田んぼによくいるアオダイショウ。昔はコレが家の軒下に住み着いて、ネズミを
食ってくれた。・・・でも現代の家の作りではヘビは住めないわな。



鉄崎VSアオダイショウ



カナヘビ。まぁ一応名前に「ヘビ」って付くので。森を歩いてて出会うのはいっつも
カナヘビで、ニホントカゲはあんまり見ない。これは愛知の森が乾燥している証拠だ。



ヘビトンボ。名前にトンボって付いてるが、カゲロウの仲間に近い。
首が長くてかなりごっつい顔をしてる。



ヘビトンボの幼虫。肉食性が相当強く、タフな生き方をしてるヤツだ。
ただし、綺麗な水を好み、汚れた水域には絶対いない、清流のシンボルである。

別名「孫太郎虫」とも呼ばれ、昔から子供の癇の虫に効く、漢方薬にもされてきた。
ちなみに俺も蒸して食べてみたけど、甘くてけっこうおいしかったよ。

・・・というワケで、ヘビ年企画はけっこういろんな動植物のラインナップが揃ってる。
ただホントはヒバカリとかジムグリとかタカチホヘビとか、あとシロマダラとか・・・
いろんなヘビ見つけて写真載せたいんだけど・・・なかなかいないからなぁヘビ・・・。

ま、それは今年1年、がんばって探します!ってことで、次回は「植物編」いきます。
  


Posted by mikihito at 15:23Comments(2)