鵜飼い
岐阜県・小瀬(おぜ)の鵜飼い舟に乗せてもらった。
左が鵜飼い舟、右がそれを見物する観覧船である。
清流長良川の小瀬鵜飼いは1300年の歴史を持つ、鵜飼い発祥の地だ。
歴史と伝統に彩られた、由緒ある漁法。
鵜飼いに使う鵜はカワウではなくウミウ。体もデカく、のども太いため
鵜飼いに向いているのだ。
初対面の俺には当然心を開かず。けれど15年連れ添った鵜匠さんの
言うことは実によく聞く。漁の直前、鵜は捕ったアユを飲み込まないよう
こうしてのどを縛られる。
かわいそうなようだが、これも鵜匠と鵜との信頼関係があってこそだ。
陽が落ち、舟にかがり火が灯る。鵜飼いのスタートだ。
小瀬鵜飼いは一切の電灯を使わない。観覧船の灯りもろうそくだ。
まわりの景色にも人工の灯りはない。漆黒の闇の中、伝統の小瀬鵜飼い
は粛々と進められてゆく。
鵜匠の奇跡の手綱さばき、時折り鵜に掛ける独特の掛け声、それに応え
懸命に潜り、獲物のアユを探し続けるけなげな鵜たち・・・。
わずか数分間の川下り。しかしそこで見たのは、人と、生きものと、自然が
織り成す強烈なドラマだった。鵜飼いとは、こんなにも美しいものだったのか。
鉄崎幹人公式HP http://www5.ocn.ne.jp/~tetsu/