野山を散策する。すると、日本ならではの美しい名前の草花に出会う。
ホトケノザ。漢字で書くと「仏の座」。茎を包む葉が、仏様が座る「
蓮華座」
に見えることからこの名がついた。ただし、残念ながら大昔から日本に自生
する植物ではない。また、春の七草の「ホトケノザ」は別の植物。
ムラサキケマン。美しいけど、ケシ科の有毒植物なので口にしてはいけない。
漢字で書くと「
紫華鬘」。華鬘とは、仏殿や仏像を飾る仏具のことで、これも
仏教に関連する言葉である。
仏教に関係するといえばこれもそうだろう。
コウヤボウキ。漢字は「高野箒」。
昔、高野山の修行僧が、この木の枝を集めてホウキを作ったことが由来。
このように自然界の動植物と、仏教はいろんなところでつながっている。
菩提樹、沙羅双樹(日本ではナツツバキを指す)なんてまさしくそう。
他にも美しい植物の名前としては、ムラサキシキブ、ジュウニヒトエ、
ニシキゴロモ、ヤマコウバシ、ウラシマソウ、ベンケイソウ、ザゼンソウ、
センニンソウ、フクジュソウ、ツキミソウ(外来種)、
ヤマトナデシコ、ショウジョウバカマ、ゴゼンタチバナ、ハガクレツリフネ、
メオトバナ、ワスレナグサ(外来種)、サオトメカズラ(別名ヘクソカズラ)etc・・・
なんてのがある。中でも特に響きがいいのが・・・
ミヤコワスレ。
承久の乱で佐渡に流された順徳天皇が、この花を見ると都への思いを忘れ
られる、と言ったことが由来らしい。
「都忘れ」ってタイトルの歌は、GLAY、さだまさしさん他、いろんな歌手が
歌ってるよね。花期は5月。これからの季節、青や青紫の花が見られる。
最後は、
ヒトリシズカ。・・・あぁなんて美しく、奥ゆかしい名前!!
名前の由来は「
静御前」だ。そう、源義経を愛した悲恋のヒロインである。
「しずやしず賤のをだまきくりかへし 昔を今になすよしもがな」
義経への慕情を歌ったため頼朝は激怒したが、この舞を見た人は皆絶賛
したという。その「美しくも儚い舞」から名付けられたのが、この花である。
・・・どーすか。この数々のネーミング。日本人の感性って素晴らしいっしょ?