三島市、
源兵衛川。三島駅の南にある楽寿園の湧水を水源とし、
三島の市街地を南に流れる、全長1.5kmの水路である。
冨士の湧水が流れる街、三島。市街地の川とは思えないほどの水の美しさ。
名古屋にもこんな川のほとりのカフェがあったらなぁ・・・。いやムリだ。
この雰囲気が作れるのも、水がきれいだからこそ。名古屋だと・・水がクサい。
川、というよりは「水路」なんだが、地元の方たちの努力により、この自然度
が保たれている。信じられないことだが、ここは昔、
ドブ川だった。それを市民
が、清流に戻したのだ。そういった意味でここも柿田川も、全国的にも稀有な、
復元のシンボリックな場所だといえる。
きれいな水、そしてその横には河畔林。プラス岩、土、コケ。これだけの要素が
すべて整った場所。となれば当然現れるのが・・・
ホタルだ。三島のゲンジボタルは全国的に見ても飛び交う時期が早い。5月から
羽化し始め、6月上旬にピークを迎える。毎年この時期にホタル祭りなんかも開
かれてるが、とにかく駅から歩いて5分の場所でホタルが観られるなんて・・・。
・・・うらやましい限りである。
ホタルはどこ行っても大人気の昆虫だ。そりゃきれいだもん。この日もめっちゃ
幻想的でロマンチックな光景だった。
もしも横におネーちゃんでもいたら、間違いなく抱きしめてたことだろう。
ただし、その美しさゆえ、各地で環境美化のシンボルとして
幼虫の放流が行われ
ている。エサのカワニナとワンセットで。しかも本来その河川に生息していない、
遠く離れた水域から連れてきたホタルをバラまいてる事が多い。
くどいようだがホタルの繁殖は、きれいな水、その横の河畔林。プラス岩、土、コケ。
こういったものが全て揃わないと、やがて死に絶えてしまうのだ。
「
地域のために」とか「
子供たちが喜ぶから」とか、そんな人間本位の理由だけ
でホタルを放流すべきではない。もともと生息してない、生息できない川に幼虫を
バラまくことは、単なる殺戮でしかない。しかもそうやって喜んでるのは、たいがい
地域のおっちゃん達である。
それがみーんな悪気がなくて、なおかつみーんなイイ人達なので、余計に始末が
悪い。が、なんぼ悪気がなくてイイ人でも、間違いは間違いである。ホタルがいな
い場所にホタルを飛ばすことは、自然ではなく「
不自然」であり、子供にもウソを
教えてることになる。
本当に大切なのは、ホタルがいない川にホタルをバラまくことではなく、ホタルが
戻って来れる河川環境を整えることである。
その河川環境が整ってる証拠の植物、
ミシマバイカモ。今年もきれいに咲いてた。
水中写真。どう?この透明度。
グラウンドワーク三島のみなさんを始め、地域の方々が努力した結果だと思う。
間違いなく去年よりミシマバイカモ、増えてたもん。
そしてさらに今年驚いたのは、本流の横に人為的に支流が作ってあったことだ。
この支流の小川にいた、どデカい
クサガメちゃん。
そして数え切れないくらいの
アブラハヤの稚魚たち。・・・この支流の役割は
大きい。なぜなら、本流の速い流れでは住めない稚魚や水生昆虫たちが、この
小川で成長できるからだ。来年は爆発的に魚が増えるだろう。この河川整備は
ホント意義のあることだと思う。国交省はこれを見習え。
人間が壊してしまった自然。けれどもそれは再び、
人間の努力でとり戻すことが
できる・・・源兵衛川のホタルの淡い光には、そんなメッセージも込められている。