源兵衛川のホタル

mikihito

2012年06月01日 23:59

三島市、源兵衛川。三島駅の南にある楽寿園の湧水を水源とし、
三島の市街地を南に流れる、全長1.5kmの水路である。



冨士の湧水が流れる街、三島。市街地の川とは思えないほどの水の美しさ。



名古屋にもこんな川のほとりのカフェがあったらなぁ・・・。いやムリだ。
この雰囲気が作れるのも、水がきれいだからこそ。名古屋だと・・水がクサい。



川、というよりは「水路」なんだが、地元の方たちの努力により、この自然度
が保たれている。信じられないことだが、ここは昔、ドブ川だった。それを市民
が、清流に戻したのだ。そういった意味でここも柿田川も、全国的にも稀有な、
復元のシンボリックな場所だといえる。



きれいな水、そしてその横には河畔林。プラス岩、土、コケ。これだけの要素が
すべて整った場所。となれば当然現れるのが・・・



ホタルだ。三島のゲンジボタルは全国的に見ても飛び交う時期が早い。5月から
羽化し始め、6月上旬にピークを迎える。毎年この時期にホタル祭りなんかも開
かれてるが、とにかく駅から歩いて5分の場所でホタルが観られるなんて・・・。
・・・うらやましい限りである。

ホタルはどこ行っても大人気の昆虫だ。そりゃきれいだもん。この日もめっちゃ
幻想的でロマンチックな光景だった。
もしも横におネーちゃんでもいたら、間違いなく抱きしめてたことだろう。

ただし、その美しさゆえ、各地で環境美化のシンボルとして幼虫の放流が行われ
ている。エサのカワニナとワンセットで。しかも本来その河川に生息していない、
遠く離れた水域から連れてきたホタルをバラまいてる事が多い。

くどいようだがホタルの繁殖は、きれいな水、その横の河畔林。プラス岩、土、コケ。
こういったものが全て揃わないと、やがて死に絶えてしまうのだ。



地域のために」とか「子供たちが喜ぶから」とか、そんな人間本位の理由だけ
でホタルを放流すべきではない。もともと生息してない、生息できない川に幼虫を
バラまくことは、単なる殺戮でしかない。しかもそうやって喜んでるのは、たいがい
地域のおっちゃん達である。

それがみーんな悪気がなくて、なおかつみーんなイイ人達なので、余計に始末が
悪い。が、なんぼ悪気がなくてイイ人でも、間違いは間違いである。ホタルがいな
い場所にホタルを飛ばすことは、自然ではなく「不自然」であり、子供にもウソを
教えてることになる。

本当に大切なのは、ホタルがいない川にホタルをバラまくことではなく、ホタルが
戻って来れる河川環境を整えることである。



その河川環境が整ってる証拠の植物、ミシマバイカモ。今年もきれいに咲いてた。



水中写真。どう?この透明度。



グラウンドワーク三島のみなさんを始め、地域の方々が努力した結果だと思う。
間違いなく去年よりミシマバイカモ、増えてたもん。



そしてさらに今年驚いたのは、本流の横に人為的に支流が作ってあったことだ。



この支流の小川にいた、どデカいクサガメちゃん。



そして数え切れないくらいのアブラハヤの稚魚たち。・・・この支流の役割は
大きい。なぜなら、本流の速い流れでは住めない稚魚や水生昆虫たちが、この
小川で成長できるからだ。来年は爆発的に魚が増えるだろう。この河川整備は
ホント意義のあることだと思う。国交省はこれを見習え。

人間が壊してしまった自然。けれどもそれは再び、人間の努力でとり戻すことが
できる・・・源兵衛川のホタルの淡い光には、そんなメッセージも込められている。