生息環境の悪化により、このままだと地球上から消えてしまうかも
知れない動植物たち・・・これを「
絶滅危惧種」という。
今現在、地球上に生きる動植物の絶滅危惧種数、
19800種以上。
環境省・絶滅危惧Ⅱ類、
アカザ。ナマズの仲間だ。
先日、これを岐阜県の土岐川で採集。ひとアミで一気に3匹、たった15分ほどで
10匹以上採集できた。フツーにめっちゃいたよ。絶滅危惧種なのに・・・。
要するに、いるトコにはいるのだ。つまり絶滅危惧種とは、その数が減っている、
っていうより、「
生息できる場所」が少なくなった、と考えるべきなんだろう。
そこでもっともっと、絶滅危惧種と呼ばれながらも、がんばって生きてるヤツらに
会いたくなり、岐阜県にある「河川環境楽園・アクアトト」に行ってみることに。
絶滅危惧種でもあり、国の特別天然記念物にも指定されている、世界最大の
両生類、
オオサンショウウオ。
体のデカいコイツが生きていくには、きれいな水、豊富なエサ、そしてもう
ひとつ、「身を隠したり、繁殖したりできる場所」つまり河岸に深い洞が
必要となる。コンクリート護岸された川には、決してすめない、ということだ。
また最近では、チュウゴクサンショウウオとの交雑も問題となっている。
濃尾平野を代表する魚だった、
ウシモツゴ。環境省・絶滅危惧ⅠA類。
トップクラスの希少な淡水魚である。河川改修、ため池の消失、それに加え外来種
による食害などが、激減した原因。止水域にバスやギルを放したヤツらの罪は、
あまりにも大きい。未来永劫消えないぞ。この罪は。
同じく環境省・絶滅危惧ⅠA類、
イタセンパラ。タナゴの仲間だ。
昔はこれをセンペラと呼び、よく子供たちが釣っていた。けれども今、どこ探しても
いなくなってしまった。タナゴ類やカワヒガイなどは、大きな淡水2枚貝に産卵する。
この貝が減ったことが大きく影響している。
ハリヨ。これも環境省・絶滅危惧ⅠA類。トゲウオ科の魚で、日本では現在、
岐阜県と滋賀県にしか生息していない。海津市南濃町のハリヨ生息池は、世界に
おけるハリヨの生息地の南限である。
巣を作って産卵することで有名な魚だが、、年中、水温変化がない湧水にしか生息
しない。だからその湧水が減ったり枯渇したり、また水質が悪化すると絶滅する。
環境省・絶滅危惧ⅠB類、
ホトケドジョウも湧水の枯渇、用水路のコンクリート化
などが原因で減少。
言っておくが、魚というのは、そんなにヤワな生きものではない。少々水が汚れた
ぐらいで死滅したりはしない。ついつい「環境浄化イコール水質改善」と結びつけて
しまいがちだが、実際いちばん大切なのは、「生きものたちの
住環境」である。
もちろん水がきれいに越したことはないが、それ以上に、隠れる場所、捕食する場所、
そして産卵する場所を壊さないこと。これが大事なのだ。
環境省・絶滅危惧Ⅱ類、
カマキリ(別名アユカケ)。カサゴ目カジカ科の魚だ。
ずんぐりとした体型のこの魚は、泳ぎがあまり上手くない。ダム建設が、この魚の
遡上をかなりさまたげる。ちなみにカサゴ目だけあって、コイツの刺身はカサゴの
刺身に味がそっくりだ。たぶん川魚の中では、ナンバー1においしい魚だと思う。
でも絶滅危惧種じゃねぇ・・・。もっといっぱい増えれば捕って食えるのに・・・。
アユモドキ。環境省・絶滅危惧ⅠA類。ただしこの魚は琵琶湖淀川水系と岡山県の
一部にしか生息しない。同じ日本国内でも、生息場所が限られた生きもの、それが
引き起こしてしまう問題がある。
オヤニラミ。こう見えてもれっきとした在来の魚である。ただし、コイツは本来、西
日本にしか生息していない。ところが、そんな魚が数年前から、愛知や東京の川で
見つかっているのだ。
理由はただひとつ。どこぞのバカが放流したからである。
好きだから放流したのか、数を増やすために放流したのかは知らんが、その無責任
な行動によってこの魚は、「
西日本では絶滅危惧種、東日本では国内外来種」
という皮肉なレッテルを貼られてしまうことになった。
メダカしかり、ホタルしかり。「
数が減ったから放流して増やす」という単純な発想
は、絶滅危惧種を救う根本的な解決には、一切ならない。
可愛らしいカワウソ。ただ残念ながらコレは
コツメカワウソ。インドや東南アジアの
カワウソだ。ニホンカワウソはつい先日、絶滅危惧種から「絶滅種」になってしまった。
そしてなんと今、あきれることに、「コツメカワウソを日本の川で繁殖させる」計画を
唱えている輩が現れたそうだ。そう、中国から連れてきたトキのように。
そういえば先日、シカ対策にシベリアからオオカミ連れてこよう!なんて言ってたヤツ
もいたな。・・・あぁ・・・人間ってなんて浅はかなんだろう。
ニホンイシガメとクサガメのツーショット。ニホンイシガメは2012年より、環境省が
準絶滅危惧種に指定。
ニホンウナギとナマズのツーショット。ご存知の通り、ニホンウナギは絶滅危惧指定
に向けて環境省が検討中。またナマズの仲間も、冒頭で紹介したアカザやギバチなど
が絶滅危惧種。さらに生息状況が深刻なのが、この可愛らしい魚だ。
ネコギギ。絶滅危惧ⅠB類、国の天然記念物にも指定されている。日本国内でも
伊勢湾、三河湾に注ぐ河川にしか生息していない。つまり、そんな生きものがこの
地方からいなくなれば、それは
地球上から消滅する、ということである。
初めから絶滅危惧種だった生きものは1匹もいない。最初はみんな、普通種だった。
では命はなぜ、絶滅の危機に追い込まれるのか。その原因は、開発による生息地の
減少、水質汚濁、地球温暖化、乱獲、密漁、採集圧、外来種の影響・・・数え上げれば
きりがないかもしれない。
けれど確実に言えるのは、その原因のすべてが、「
人為的なもの」であるということだ。
人間の暮らしが、進歩が、欲が、絶滅危惧種の数を増やし続けてきた。
ならば今後、その数を減らすことができるのも、人間の行動でしかない。