2010年03月03日

ハクビシンを食う

今、何とも言えない気持ちでこのブログを書いている。
昨日、小説「食堂かたつむり」を読んだ。
そして今日、ハクビシンという動物を殺して、食った。

ハクビシンを食う

ハクビシンとはネコ目ジャコウネコ科の動物。昔から日本にいたのか、
外来種なのかははっきりしていない。ただし化石が見つかっていない
ということは、やはり外来種なのではないか。

こいつは意外と可愛い顔をしている。けれども農家の方々、特に果物
を育てている方々にとっては「害獣」である。
なんせ片っぱしから果実を食い散らす、大変やっかいな存在なのだ。

ハクビシンを食う

これはイチゴのハウス内に現れたハクビシンの足跡。収穫を明日に控え
たイチゴの、それも一番おいしい部分だけがいくつも、やられた。

そのやっかい者が静岡の猟師さんのワナにかかったというので早速、足
を運び、食させていただいたというわけだ。

ハクビシンを食う

ついさっきまで震え、我々を威嚇していた生きもの。その生きものの命
が「処理」された。

ハクビシンを食う

手際良く肉をさばいてゆく猟師、松永さん。生きものが、食いものに
変わっていく。最初はとても見ていられないだろうと思っていたのに、
不思議とその感情が変わっていくことに気づく。
哺乳類だって、魚をさばくことと何ら変わらないことに気づく。

そして、血を抜き肉を削いでいくその作業が、とても神聖な儀式のように
思えてくる。命をいただくというのはこういうことなのだ。

ハクビシンを食う

ハクビシンのロース。きれいでうまそうだ。これを見て「気持ち悪い」なん
て言う人は1人もいないだろう。焼肉屋でよく見る姿だからね。要するに
我々は、命を殺す光景を、あまりにも普段見慣れていないだけなのだ。

ハクビシンを食う

そしていよいよ、ハクビシンの肉を食してみる。その感想は・・・うまい!
少しクセはあるのだが、決してイヤなクセではない。むしろその野趣あふれる
味は、噛めば噛むほど旨味がにじみ出てくるようだ。

きっとこの味はハクビシンがいつも果物を食ってるからだろう。その果物を
食われた農家の皆さんの積年の恨みを、俺は何度も何度も咀嚼した。

ハクビシンを食う

けれども、あのハクビシンの瞳が、どうしても忘れられない。
クリクリと可愛らしく、それでいて怯えと怒りが同居していたあの瞳。
あの哀れな瞳を見た時、殺すことを、食うことをためらったのは確かだ。

しかしそんな俺に、猟師の松永さんの深い言葉が響く。

「我々も命を好き好んで殺しているわけじゃない。
 けれど、被害を出す動物を放っておくわけにはいかない。
 捕らえたものを放してしまえば、どこか違う場所でまた被害が出る。
 だから殺すことは仕方がない。 
 ただ、それを食ってやることが、命をムダにしないことが、
 せめてもの供養になる。」

・・・心に、刺さった。

ハクビシン、ごめんな。でもうまかったぞ。・・・ありがとな。

鉄崎幹人公式HP http://www5.ocn.ne.jp/~tetsu/



この記事へのコメント
 焼き肉屋でお「美味しい、美味しい」と頂いてる牛や豚ももとをたどればあのハクビシンのように可愛く人慣れもする。
 
 以前四国に住んでた時、家から車でそんなに離れてない場所に、と殺場があり初めて牛や豚がトラックに連れてこられ暫くすると同じトラックが空でそこから出てくるのを見てし衝撃を受けました。それを考えると今回のハクビシンとの違いは、あまりありませんね。一つの違いは、「害獣」と呼ばれていること。
「害獣」と言われている動物はの殆どは人間の貪欲さから海外から連れてこられた被害者(獣)かもしれないですね。

 しかし一方で、食べるためじゃなくただの楽しみのためだけに身近な動物を、犬や猫を殺す輩が沢山いるのは嘆かわしいことです。

 外から自分の意思で連れてこられた訳じゃない動物たち、身近なものに対する命の軽視が多すぎると思います。
 
 これからもこうしたことを発信してください。
最後に「鉄ぶら」ありがとう!!勉強になります。
 
Posted by miki at 2010年03月03日 19:51
てっちゃん、コンニチハ。
いつも楽しくラブラジ聞いてます。

一番興味深い鉄ワールドのコーナーについて僕の意見を聞いてください。

僕は捕鯨に反対でシーシェパードもっと頑張れって感じです。なぜなら僕は野生動物や自然が幼い頃から大好きで、鯨やイルカを殺すことはアマゾンの熱帯雨林伐採と変わりないことと考えています。海洋生態系食物連鎖の頂点にたつ鯨類を人間が殺すことは海のバランスを著しく崩す恐れがあるのです。捕鯨禁止になってから漁獲量が減ったとかいろいろ言われていますが、それはただ単に人間の乱獲と温暖化による気候変動が要因です 。一部のミンク鯨などは増えているという見方もありますが研究者によって見解はまちまちです。日本の伝統的な食文化を守るとか家畜は良くて鯨かわいそうと言うのはおかしいとか捕鯨賛成派にもいろいろ意見があるのは解らないでもないです。がしかし、この飽食の日本、わざわざ鯨を殺して食わないと生きていけないのか、という話です。戦後の学校給食導入(パン食)食生活の多様化、ファミレス、ファストフード、コンビ二、などのいわゆる食の欧米化によりどれだけの貴重な食べ物が大量に廃棄されていることでしょう。そしてそれらは自由と平和の名のもとにとどまることを知りません。日本の古き良き食文化はもはや絶滅危惧種になりつつあります。貨幣経済、民主主義、主本主義などによる人間のエゴ、慢性的な贅沢病によりどれだけのかけがいのない命が無駄に奪われていることでしょう。 



何よりもクジラ、イルカはカワイイので、殺される映像を見ると心が痛く苦しくなります。

人間はどうしても人間本意、人間中心に物事を考えてしまいがちですが、そもそも地球の中の数ある生物のうちの一つでしかありません。

てっちゃんのようにいろいろな考えかたがあるので、それぞれの考え方を尊重しつつ、なるべく慎ましく生きていかなければ結局は自滅の道を辿ってるような気がします。

それにつけてもオヤツはか~るですね。






十七のしゃがれたブルースを聴きながら思いました。 
Posted by 犬ぐろ at 2010年03月10日 09:09
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