2016年04月30日

生物農薬

生物農薬

真っ赤で大粒なイチゴ、「きらぴ香」。静岡イチゴの主戦力である「紅ほっぺ」は
甘味と酸味のバランスが素晴らしいイチゴだが、その紅ほっぺの粒の大きさと、
「章姫」の収量安定性を受け継ぎ、さらに宝石のような輝きとフルーティーな香り
に甘味を加えた、まさに静岡が全国に誇る新種のイチゴ、それが「きらぴ香」である。

生物農薬

競争率の高い静岡イチゴの中で見事、農林水産大臣賞を受賞した、袋井市の
丹羽さんの農場におじゃました。
・・・・・うまい。文句なく美味しい。中でも特にきらぴ香の味は群を抜いている。

イチゴに酸味を求める方は紅ほっぺを選ぶだろう。もちろんそれは個人の好き好き
なんだが、俺はこのきらぴ香を推したい。きっと近い将来、静岡発の新品種イチゴ
として、全国を席巻する日が来るんじゃないだろうか。

けれどどんな農作物だって、労力を注がなければ美味しいものは作れない。
ライバルの多い静岡県でなぜ、丹羽さんがナンバーワンの栄誉を手にすることが
できたのか?それは苗づくりを始めとし、徹底した管理、そしてイチゴ作りすべてに
関し、決して手を抜かない・・・その姿勢にある。そのひとつとして、このハウスでは
こんなものが使われている。

生物農薬

スパイデックス。虫に虫を捕食させ、駆除する。「生物農薬」というやつだ。

イチゴに付くハダニを捕食するのはチリカブリダニ。つまり、「ダニをもってダニを制す」
のである。環境や生態系への影響、人畜への害もないという。

誰だって農薬まみれの農作物は食べたくはない。もちろん完全無農薬で農業をやる
大変さは理解してるし、消費者が「きれいで形が揃ってて、なおかつ安い農作物」を
求め続ける以上、完全無農薬では農業は成り立たない。

けれども生物農薬という、こういう形態もあるのだ。・・・っていうかもともと農耕地には、
この健全な食物連鎖が機能していた。害虫である存在の虫をトンボやクモが食べて
くれて、それをカエルが食べ、次にヘビが食べ、最後に上位種であるタカ類が食べる。

そんな素晴らしい連鎖の輪をぶち切ったのは人間だ。効率優先、経済優先の結果、
生きものたちが必死に営むその頭上から、農薬を浴びせ続けてきた。
そして気がつくと・・・・・農地から赤トンボが消えていたミツバチが消えていた

生物農薬

生物農薬を使うことでいちばん喜んでいるのは彼らだろう。

しかしこういった受粉昆虫が喜ぶということは、直接人間の暮らしにも関わってくる事
なのだ。なぜなら彼らがいなければ、我々は野菜や果物を食べる事ができないからだ。

今後、TPPによって日本の農薬事情はどうなるのか。モンサント→住友化学の強力な
連携により、EUが使用を禁止したネオニコチノイド系農薬は、使用禁止になるどころか
今まで以上に、日本の農業と日本人の体を蝕むことになるかも知れない。

いや、きっとそうなることだろう。最悪のシナリオとして、自国アメリカでは残留基準値を
厳しくし、輸出国である日本に対しては緩和を要求し、気づけば日本の農の現場には、
生物のいない「沈黙の春」が訪れる・・・・・そうなってからでは遅いのだ。

しかし未だに日本では、ネオニコ系農薬の危険性が大々的に指摘されることはない。
相も変わらず、TPP=農作物の関税の問題、としか報道されない。
本当の危険はそんなお金のことじゃなくて、日本人の生命とアイデンティティー
関わることなのに・・・・・。

農薬の残留基準値緩和について http://mikihito.hamazo.tv/e6156456.html
F1種子・日本の伝統野菜について http://mikihito.hamazo.tv/e5667993.html

生物農薬

日本の農家さんたちの中に、「消費者のことなんて知らん。農薬は使い続ければいい」
なんて人はたぶん1人もいないだろう。みんな、少しでも減らしたくて、でも仕方なくて、
そんな思いで必死に食べ物を作り続けてくれてるのだ。

国は、自国の消費者と、そしてそんな農家さんたちの歯がゆい思いに、少しでも報いる
努力をすべきではないのか。
農林水産大臣賞受賞のイチゴを食べながら、そんなことを思った。



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