2016年06月11日
あなたの知らないクモの世界
「ね~ね~、クモ好き?」って聞かれて、好きって答える人はほとんどいないと思う。
だいたいの人が、クモ=キモい。毒がありそうでコワい・・・・なんて思ってるんでは
ないだろうか?
でもね、全世界でクモに噛まれて死んだ人なんて数えるほどだし、(セアカゴケグモ
の場合、幼児と体力的に非常に弱ってた方だった。)スズメバチみたいにクモの方
から人間を襲ってくることもない。
さらにこの写真のようにクモは、色も模様も美しいものが多い。そしてもうひとつ・・・
何よりクモは、その生態がめ~~っちゃ面白いのだ。
今回はその一例をご紹介するので、ちょっとでも興味を持ってくれたら嬉しいかな。
コレなんだと思います?竹と竹の間にクモの巣らしきものが張られてるけど・・・・・。
コレ、実はゴミグモっていうクモの巣なんである。
アップにしてみるとわかるかな?真ん中にクモがいるっしょ?
で、このクモが面白いのは、この写真のように巣の中央部分に、ゴミや食べかす、
脱皮殻などを集めること。そしてそのど真ん中に身を潜め、獲物を待ち構えるのだ。
一見しただけではどこにクモがいるのかわからない、100点満点の擬態。
しかしゴミを集めてその中に住んでるなんて・・・・・・まさに、ゴミ屋敷やん!!
さらにアップにしてみると・・・わかるよね?コレがゴミグモ。ゴミ屋敷の主。
クモの世界にはゴミ屋敷に住む者もいれば、他人の巣に「居候」する者もいる。
それがこの、クロマルイソウロウグモ。
居候するだけならまだしも、コイツは巣の持ち主であるオオヒメグモの幼虫を食べ
ちゃう、居直り強盗みたいなヤツなのだ。だからこの写真のクモと卵のうは、全くの
アカの他人、ってことになる。
続いてはこちら。照葉樹の葉っぱの4分の3ほどが白くなってる。これもクモの巣
なんだけど、この中に潜んでるのが、アオオニグモだ。
冒頭の写真と同じクモなんだが、コイツがなかなかに美しいクモなのである。
さらに面白いのが・・・・・さっきの葉っぱの写真をもう一度よく見てほしいんだけど、
わかるかな?巣の入口の部分から一本の糸が出てるのが。
この端っこを、中にいるアオオニグモが手に引っ掛けて持ち、スタンバイしてるワケ。
そして近くに張った網に獲物がかかると、この糸に振動が伝わり、「釣れた」ことが
わかる。そう。まさにこの糸は「釣り糸」であり、このクモは「一本釣り師」なのである。
葉っぱの裏にいた、ウロコアシナガグモ。・・・しかしホントにクモの生態は面白い。
釣りをするクモもいれば、網を投げて獲物を獲る、ナゲナワグモ、なんてのもいる。
今回最後に紹介するのはコレ。・・・さて何でしょう?・・・ん?アリ?はい。確かにアリ
に見えるよね?でもよ~く見て。アリは昆虫。足は6本のはず。コイツ何本ですか?
8本あるよね?そう。コイツ、アリじゃなくてクモ。名前もそのまんま、アリグモ。
上のがオスでこっちがメス。見れば見るほどアリそっくり。しかもコイツらは、頭部に
一番近い足 (第一脚) を常に持ち上げることで、アリの触角に似せ、昆虫と同じく
6本足の振りをしている。さらにさらに、アリなどの昆虫は頭部・胸部・腹部と体が
3つに分かれているのはご存じだと思うが、コイツらはその形態に似せるため、頭胸
部にくびれを作り、まるで頭部と胸部が分かれているかのように見せかけてるのだ。
アリという、大軍を作る恐ろしい昆虫に擬態し、その仲間入りをすることで、彼らは敵
から身を守っているのである。・・・・・いや~~お見事!!
いかがでした?めっちゃ興味深い、クモの生態。彼らは恐るべき捕食者ではあるが、
巣をかけじっと獲物を待つ、という生活形式は、同時に常に鳥などに捕食される立場
の生きものでもある。その駆け引き、そして生き残るための「知恵」が非常に面白い
のだ。
今回は日本クモ学会の権威・緒方清人さんに同行してもらい、クモの面白さをじっくり
教えていただいた。緒方さん、ありがとう。
嫌われ者的存在のクモのこと、ちょっとは好きになってくれたかな?
・・・・ん?何?まだなれないって?・・・よーしわかった。次回、もう一回特集組もう。
Posted by mikihito at 15:04│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。