2020年07月10日
リニア中央新幹線を考える・後編
リニア中央新幹線問題。最近ネットニュースなどでも盛んに
取り上げられ、ようやく世間の皆さんの注目を浴びるように
なってきた感がある。
大泉洋さんは「水曜どうでしょう」。川勝知事は「水量どうでしょう」。
で、今回も岐阜県内のリニア工事予定地を巡ってみたロケ、
そこで見た風景をいろいろ載っけます。
ここは恵那市・第一大井トンネル抜けたあたりの風景なんだけど、
こののどかな場所に高架ができて、リニアは外を走る。想像して
みると・・・・ぞっとするわな。
瑞浪市に入るとこんな小さな湿地がある。山の湧き水も注ぐ場所
だが、このあたりはトンネルが掘られる予定地。大井川の水だけ
ではない。水枯れは、沿線すべてで予想されることである。
こ~~んなに細い湿地帯なんだけどね。
それでも、こういう場所でしか生きられない命がある。
モウセンゴケにノカンゾウ、
絶滅危惧種のカキランも咲いてたよ。けなげに。
「そんな花の命のことなんて知ったことか!」と言われそう
だけど、きっとそういう人たちは、人にも同じことを言う。
それが、経済最優先で走ってきた結果の、今の格差社会だ。
ここまではなんとか、リニアの姿を想像するにとどまってた。
けれど、瑞浪市内の日吉トンネル予定地近くを見た時、突然
リニアというものが現実味を帯びたように感じた。
自然の中の、違和感たっぷりの人工物。
これは、トンネル掘削工事で出た土砂を山の上に運ぶための
ベルトコンベアだ。この土砂はどこに行くのか・・・・。
ここだよ。
人目につかない自然の中の、愕然とする光景。トンネルを掘る、
とはこういうことだ。さらに土岐市・東農鉱山にはウランも眠ってる。
ではトンネル掘削問題で揺れる、静岡県に話を戻そう。
大井川の源流域。南アルプスの地質に詳しい静岡大防災総合
センターの教授は、今回の豪雨で路肩崩落などの被害が相次い
で発生していることに触れ、この地域について「日本で一番崩れ
やすい地質だ」と指摘した。そんな場所を掘ろうとしているのである。
にもかかわらず国の姿勢といえば本日、国土交通省の事務方
トップが川勝知事に対し、JR東海が求める準備工事を容認し、
7月の早い時期に必要な手続きを進めるよう求めたのだ。
当然却下。ここに来てなに言ってんの?って話である。
なんかさ、最近思うんだけど・・・JR東海は初期の志、あるのかな?
今回はお金の話をするけど、そもそも当初は全額自己資金でやる、
って言ってた事業に、安倍さんが「財政投融資」って形で3兆円投入。
びっくりする程の好条件ではあるが、JRとしてはとりあえず返さなきゃ
いかんお金。それをペイするには現在の1.5倍の乗客数が必要だ。
新幹線からの乗り換え客ではなく、すべて含めて1.5倍。それでやっと
ペイ。儲けを出すなら、さらにたくさんの乗客数が必要になる。
景気低迷、さらにコロナによって東京~大阪の出張もリモートで代用
できるようになってきた。そんな中で1.5倍。・・・・無理やろ。
さらに最近の世論の変化。「静岡がゴネるなら迂回ルートを!」。
なんだかこの意見がかなり強くなってきたと思う。けれど、ルートを迂回
させれば工期はさらに延長、当然予算も大幅に上回ってしまうことは必至。
そもそも当初の予算内で収まった巨大プロジェクトなんてほとんどないのだ。
東北新幹線、1兆8000億→2倍の3兆6000億。
上越新幹線、4800億→3倍以上の1兆7000億。
リニア中央新幹線も、9兆円ですむわけがない。となれば結果・・・国税投入。
壊して、建てて、失くして、造って・・・。やりたい放題やってきた我々世代の
負の遺産を、子供や孫たちに受け継がせていいのか?本当に残すべきもの
は何なのか?
ちょっと前まではさ、なんか俺もイライラしてたし、攻撃的だったと思う。
でも今はさ、なんていうか・・・心配の方が強くなってきた。JR東海の社員さん
たちはどう思ってるんだろう、とか。実際いくつかあるうちのひとつの労働組合
は、リニア反対を掲げてるしね。そりゃ心配になるよね。
・・・・って考えてるうちに、だんだん金子社長が気の毒に思えてきたのだ。
安倍さんに3兆円投入させたのは元会長だし、でもそれもらったらもう後には
引けないし、でも国交省はガンガン突き上げてくるし・・・・。正直、国と静岡県
との板挟みになってるのが今の状況。・・・・だったらさ、もうさぁ・・・・
勇気ある撤退したらどうだろう?もう静岡ルートはあり得ないし、迂回
したら工期もお金も余分にかかるし、さらに到着時間も延びて新幹線
との差別化があんまりなくなってくるし。
俺は世界一安心・安全で快適な新幹線が大好きなのだ。実際今も
毎週2回、新幹線で往復してる、かなりのお得意さんだとも思う。
東京~新大阪、2時間半でいいじゃないか。リニアとの差、1時間半。
でもその1時間半が失うものの代償が、あまりにも大きすぎるのだ。
俺はこれからも・・・・・新幹線に、乗り続けます。
Posted by mikihito at 23:58│Comments(0)
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