2009年11月05日

泡瀬干潟の未来

沖縄市の東に広がる泡瀬干潟。沖縄最大の干潟であり、生息する貝の種類
だけでも360種以上という、極めて生物多様性に富んだ場所である。

泡瀬干潟の未来

ホソウミヒルモ、リュウキュウズタ、ニライカナイゴウナなど、ここで初めて見つ
かった新種は10種以上。オボロヅキという貝は日本ではここにしかいない。

ムナグロという渡り鳥の越冬数も日本一。海草の種類も日本一。
生息する絶滅危惧種は動植物あわせて174種以上で、これも日本一。

とにかくすごい貴重な場所なのだ。

泡瀬干潟の未来泡瀬干潟の未来

一面に広がる砂ダンゴ。これは全部右のミナミコメツキガニが作ったものだ。
流れてくる有機物を食べたあとダンゴを作る。つまり彼らが川からの水を浄化
してくれるわけだ。

泡瀬干潟の未来泡瀬干潟の未来

正式名はわからないが、「海スギナ」と呼ばれる海草。確かに海のツクシだ。
右は通称「砂茶碗」と呼ばれる、タマガイの卵隗。
そして今回、どうしても撮影したかった生きものにも出会うことができた。

泡瀬干潟の未来

右のハサミだけが異常にでっかい、シオマネキだ。めっちゃおったぞ。
とにかく足元も遠くも、生きものだらけ。まさに「命の宝庫」だった。

泡瀬干潟の未来泡瀬干潟の未来

でもここには何だかピリピリした空気も漂う。左の石板には「高圧につき触ると
死ぬ」って書いてある。「触ると死ぬ」て・・・。
右は「泡瀬干潟を守る会」の会長、前川さん。今回いろいろと案内をしてくれた
のだが、優しくて、穏やかで、それでいて芯の通ったとってもいい方だった。

そう、命の宝庫・泡瀬干潟は依然、開発の危機にさらされている。

第1期工事96ha、第2期工事91ha、合計187haを浚せつ土砂で埋め立て、
そこに海洋リゾート地を作るというのが国や県、沖縄市の計画である。

現在第1期工事は進行中で、美しい海にダンプから黒い泥が投げ捨てられる
悲惨な映像をニュースで見た人も多いだろう。また最近では前原国土交通大臣
も視察に訪れてるから、以前よりは全国的な認知度も上がったとは思う。

そんな中、2009年10月15日、「埋め立て事業に経済的合理性はない。今後
公金の支出を禁ずる」という控訴審判決が出され、反対住民側が勝訴。

現在のところ干潟の保全に向けて、追い風が吹き始めた感はある。
(実際、俺が行った時も工事はストップしていた。)

泡瀬干潟の未来

だがご覧のように土砂運搬用の道路や護岸工事はすでに完成している。
公共事業はすでに動き出している。
決して今後も、楽観できない状況であることに変わりはない。

美ら海・沖縄。その美しい水は、干潟の浄化作用あってこそ維持できる。
そして干潟は、数限りない生命を育む。かけがえのないこの場所を守るために、
1日も早く、ラムサール条約への登録が望まれる。

最後に、泡瀬干潟を守る会の前川さんはこんなことを言った。

「一度埋め立ててしまった干潟は2度と戻らない。我々の子や孫たちに残して
おきたいもの、それはリゾートではなく、自然です。自然はけっしてお金で買う
ことのできない、宝物なのです。」と・・・。

帰り道、偶然にもカーラジオから「島人ぬ宝」が流れてきた。

鉄崎幹人公式HP http://www5.ocn.ne.jp/~tetsu/
泡瀬干潟を守る連絡会HP http://www.awase.net/



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