2017年04月29日
クマバチはコワくない!

桜の季節が終われば次は藤。この時期、藤の開花を楽しみにしてる人
は多いと思うが、藤の香りに誘われて集まるのは、人間だけではない。

ブンブンブン~♪ ハチが飛ぶ~~♪・・・・・クマバチ(キムネクマバチ)だ。

カラダもデカけりゃ羽音もデカい。だからこのハチを恐れてる人も多いと思う。
でも、よ~~く覚えといてほしい。クマバチは、ぜんっぜんコワくない。
クマバチは可愛くて、めっちゃいいヤツなのだ。

肉食のスズメバチと違い、クマバチは花蜜や花粉を食べてるので、性格は
めっちゃ温厚。手を出さない限り、ぜっ~~ったいに向こうから刺してくること
はない。なおかつパトロールのためホバリングしてるのはオスなので、お尻に
針を持ってないから刺されることもない。
さらに、藤の花はとても固い構造で蜜を守っており、クマバチの強い力でこじ
あけないと花が正面から開かない。つまり藤は、彼らを花粉媒介のパートナー
として特に選んでいる。クマバチなしでは藤は生きていけないのだ。
以前、「みつばちマーヤの冒険」の中で、ミツバチの国を攻撃したのがクマバチ
だったり、「みなしごハッチ」では、クマバチが略奪を尽くす集団として描かれて
いた。生きものを描く以上、生きものの生態ぐらいちゃんと知っとけ!!

ずんぐりしてて、もふもふ。・・・・・コレ、女子が好きな要素だろ?
だったら、クマのプーさん同様、クマのハチさんも好きになってやってくれ!
ところがそんな可愛らしいクマバチの世界にも、異変が起こっている。

タイワンタケクマバチ。=台湾から来た、竹に巣を作る、クマバチ。
2006年、東海地方で発見された外来のクマバチである。乾いた竹の筒に穴を開け、
竹の空洞を利用して巣を作る。先ほど台湾から来た、と書いたが、もともと日本への
竹の主要輸出国は台湾だったが、2000年代に入ってから中国が輸出国に入れ替
わり、そのため中国から竹とともに、このハチも日本に侵入してきたと推測される。

日本のクマバチとの違いは一目瞭然。胸が黄色くなく、黒い。そしてちょっと細い。
今のところ愛知と岐阜以外では確認されていないが、藤の花を見物する時に一度、
黒いハチが混じってないかどうか、よ~く観察してみてほしい。
エサの競合以外、在来クマバチへの影響がないとは思われるが、今後、生息数が
逆転するようなことがあれば、何が起こるかわからない。注意が必要な生物である。
ただ、松の人工的な植樹とともに増加したマツノザイセンチュウ、密集したソメイヨシノ
の衰退とともに増加したムネアカツヤカミキリ同様、全国的に竹林がこのまま放置され
続ければ、タイワンタケクマバチも今後、勢力を拡大する恐れはある。
ブンブン、のんびり蜜を吸う彼らの世界も、けっして安泰ではないのだ。
なにはともあれ、今までクマバチをコワいと思ってた人たちの認識が変わるといいな。
鉄崎幹人オフィシャルウェブサイト http://tetsuzaki.com/
Posted by mikihito at 10:34│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。